| 執筆者について sweetsやわらさん レシピ1 《桜味噌の浮島》 レシピ2 《栗蒸し羊羹》 レシピ3 《スィートポテトしぐれ》 |
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お茶あるところにお茶菓子あり レシピ2《栗蒸し羊羹》 そろそろ肌寒い風が、体の回りでじわじわと吹き寄せる。夕暮れ時の真っ赤な太陽がもうすぐ地平線の下へ隠れてしまうのを惜しみながら、精一杯の光を放っている。今日は、秋という季語を使い始めても良いぐらいの気候である。 白地に藍色の模様が上品な湯のみに、熱すぎもなく、ぬるすぎもなく挽き茶色の緑茶が注がれている。 抹茶入りの玉露茶である。瞳が吸い込まれそうな深い挽き茶色は、私たち日本人に心の安らぎを与える色と言っても過言ではない気がする。 一煎目のこのお茶の旨味はお茶本来の味であるとともに、飲む側の期待が反映された味とも言えるのじゃないだろうか。寂しいような、切ないこの季節に、なぜかこの色が心を和ませる。 今、このお茶は、私の目の前に、豊穣の秋と語るにはまだ早いけれども、こがね黄金色の栗がごろごろと埋め込まれた羊羹と一緒に用意されている。 このお茶が湯のみに注がれる前、今日のお茶菓子として栗蒸し羊羹をこしらえたからである。 "栗蒸し羊羹"
こしあんに小麦粉と片栗粉を混ぜる。そこへ適度の水を加え、流れるこしあん液を作る。甘味を必要最低限に抑え、今含まれているこしあんの甘さを引き出すために塩を少々加える。刻んだ栗の甘露煮を混ぜ合わせ型に流す。このときに混ぜる回数によって食感が変わる。たくさん混ぜるともっちりした羊羹になる。私は口当たりがもっちりした羊羹を食べたいから、小麦粉を少々多めにして、よく混ぜ合わせる。約1時間強蒸し器で蒸す。 蒸気がもんもんと立ち込める間、羊羹はじっくりと形作られている。蒸しあがりを知らせるタイマーがなると同時に蒸し器から取り出し、表面をならす。 用意しておいた半切りの栗の甘露煮を行儀よく並べる。栗が表面になじんだら、もう一工夫。つやだし寒天を塗り上品な輝きをつける。後は冷めるまで一休み。 お茶を引き立たせる甘さ、口の中にもっちりと広がる感触、黄金色の栗が一役かって栗蒸し羊羹の完成。 抹茶入りの玉露茶が挽き茶色になって湯のみに注がれる。畳のいぐさの香りが秋を知らせる風と一緒に鼻先に香る。夜になれば現れる月のように、金色に輝く蒸し栗が羊羹の側面に散らばってみえる。一煎目のお茶が香り高く、味わい深く口の中に広がる。羊羹の甘味が、それを覆うように後からじんわりと私の舌をせめたてる。そして不思議なバランスに舌鼓。 ほんの少しだけ早めの秋を感じるお茶時間のはじまり。 |